TSUGARU
太宰治が生まれ故郷の津軽を紹介している。ええんちゃう、と思う。
津軽は演歌に人気がある。「津軽」の冒頭に紹介されている「津軽の雪」すなわち「こな雪 つぶ雪 わた雪 みず雪 かた雪 ざらめ雪 こおり雪」は新沼謙治の「津軽恋女」に出てくる。「♪降り積もる雪、雪、雪、また雪よ〜、津軽には七つの雪が降るとか〜」。いいなあ。同じ歌に出てくる「竜飛岬」も有名だ。石川さゆりの「津軽海峡冬景色」の2番は「♪ご覧あれが竜飛岬北の外れと〜」で始まる。この竜飛のことを太宰は次のように記している。
「『竜飛だ』とN君が、変わった調子で言った。
『ここが?』落ちついて見廻すと、鶏小舎と感じたのが、すなわち竜飛の部落なのである。凶暴の風雨に対して、小さい家々が、ひしとひとかたまりになって互いに庇護し合って立っているのである。ここは、本州の極地である。この部落を過ぎて路はない。あとは海にころげ落ちるばかりだ。路が全く絶えているのである。ここは、本州の袋小路だ。」
どや、暗いやろ。他にも以前mixiの日記にも書いた元和から昭和に至るまでの、「津軽凶作の年表」なんてのも出で来る。
でもね。読後感はいたって爽やか。なのでタイトルをローマ字にしてみたりした。では、失敬。
どうでもいいけど、私が読んだのは「平成3年の第74刷」で280円。さっき画像を入手するために某サイトで見たら今は420円。文庫本も高くなったものである。
鼠に仏心ありやなしや
私が働いている製鉄所の産業医で同じボート部のM女史は、女優でもあり、「劇団ここから」の劇団員である(http://www7a.biglobe.ne.jp/~gekidan_kokokara/indx.html)。そこが、新しい演出で「ブンナ〜」を演るというので観に行った。
まあ、子供に「弱肉強食」などを教えるお話。劇はヨメと二人の息子と4人で行ったが、せめてこれぐらいは理解してくれたかどうか。あとは仏心の話、無常観の話、先入観の話、などなど。学べる範囲は広い。
さて問題は、小説(や演劇)では全ての動物が擬人化されているので、鼠にも仏心があるのだが、実際鼠に仏心はあるのだろうか?禅問答にもなりそうだ。
ホラー?
「岡山女」(岩井志麻子、角川ホラー文庫)
以前読んだ「べっぴんぢごく」(http://d.hatena.ne.jp/TAD-O-TAD/20081207)なんかに比べると、あっさりしすぎという感じがする。死霊や生霊なんかが出てくるのだが怖くない。どころか、近頃「聖(セイント)☆おにいさん」という漫画にコミカルな死霊が出てきたりするから、逆に思い出し笑いをしてしまったりする。また、エロスの要素がほとんどないのもマイナス点か。私はこの作者には「暗いエロス」を期待しているのだ。
ま、次(の未読の作品に)行こか。
科学の外側
私の敬愛する学者に谷岡一郎氏がいることはどこかで書いたが、好きな学者の中に植島啓司氏がいる。純粋に統計学や確率論の話をすれば、谷岡氏に軍配が上がるのだが、植島氏のほうは科学の枠組みの外側の話をしてくれる。そりゃ、肩書きは「宗教人類学者」やからね。例えば「運」。そんなもん、あることもないことも今の科学では証明できない。さっき書いたように枠組みの外側の話やからね。信じるか信じないかになってしまう。
私は「あると信じたほうが面白い」と考える人間である。「霊」もしかり。ただ、あることを証明も出来ないのに「絶対ある」と断言して、それで金儲けしている輩は大嫌い。占いもそう。
ま、この本は「科学ちょっと。その外側たくさん」の内容でお送りしています。私は好きだな。