笛吹けど…

TAD-O-TAD2007-05-18

「データはウソをつく」(谷岡一郎ちくまプリマー新書
谷岡先生は私が敬愛する学者の一人。この本は「『社会調査』のウソ」(文春新書)の続編に当たるが、単独で読んでも十分役に立つ。第三章は若干統計学の知識が必要だが、他は平易。ただ、この本はどうやら大学生か若い社会人向けに書かれたような気がする。自分にとってはマスゴミのアホさかげんや広告のいい加減なトコロをズバズバ斬ってくれるのが痛快。ホントはマスゴミや広告に踊らされている人達に読んで欲しいんだけど、「あるある」で納豆買いに走る人が、この本を読むとはとても思えないなあ。「笛吹けど踊らず」といったところか。心に残ったのは「ネット情報を使いこなせるためには三つの前提がある」というトコロ。
1.基礎となる教養
2.事実や数字を正しく読むための能力(リサーチ・リテラシー
3.ゴミの中から本物を嗅ぎ分ける能力(セレンディピティ
また、「学問に向いていない人」にも三つあるそうで、
1.非科学的な大前提を持つ人
2.スポンサーの顔色を見る人々
3.人間関係に埋もれる人
らしい。いちいちごもっとも。2のところではゴミ売が中央公論のコラムから谷岡先生を降ろした件があり、ゴミ売への怒りが増幅。

余談だが、谷岡先生はいしいひさいち氏のファンであるとのこと(この本にも氏の漫画が十一編挿入されている)。これでまた谷岡先生に手紙を書きたい熱が起こってしまった。