ファン以外には勧めん。

TAD-O-TAD2007-09-27

「バンド・オブ・ザ・ナイト」(中島らも講談社文庫)
ふとしたきっかけで「僕に踏まれた町と僕が踏んだ町」(中島らも集英社文庫)を読み返した。すると「バンド・オブ・ザ・ナイト」を読み返したくなった。この本はマトモ(?)なストーリー部分と、ラリってる時の描写から成り立っている。ストーリー部分は過去に書かれたエッセイからの寄せ集めみたいな感じで、あんまり面白くない。面白いのはラリってる時の描写だ。これだけ読んでも私はこれが中島らもの著作だと言い当てることが出来る、と断言する。イメージの羅列だけれども、それが偏っているからだ。薬のイメージ、音楽(ロック)のイメージが多い。その他、プロレス技や被差別人種、性的描写など。他にもダブっている名詞も数々。(だから解説(町田康)が書いている「私は世界はここに書いてあること以外なにもないし、ここに書いてあること以外、なにも必要ないと思った。」という文には首肯しない。)分からないのはらもさんがこれを書いた時、素面だったか、飲んでいたか、ラリっていたか(これはないと思う)だ。私なら素面で書いて、名刺の重複は避けるのだが。まあ、なにせらもさんのことだから真相は分からない。とりあえずこの本を購入するに当たっては、イメージの羅列を読んでみてついていけそうならOK。ダメならやめるべきだ。面白くないから。書き写すのは面倒なので、らもさんの真似をして書いてみる。
 おれは中島らもの真似をする。こういう風に。アイラモルトをがぶ飲みするスコットランド人、茹で上がって真っ赤になった蟹の脚、リポビタンDの空き瓶で遊ぶ幼児、祟り、石山丈山、ダーレイ・アラビアンとロジータの間に生まれた美しい仔馬、カレーのルーは右に置け、レンドルミン白土三平俵万智の対決、2時間待たねばならないラーメン屋、大聖堂、キンカン塗ってまた塗って、不具者の足に接吻する王女、百三十七手詰めの詰将棋、ケス・ク・セ?、水出しコーヒーしか置いてない喫茶店、時計の電池が切れた、ドーパミンノルアドレナリンを全開にして、ヒットエンドラン、阿頼耶識ハッブル時間とプランク時間、これは端渓です、ノラ猫に「ダラネ」という名をつける、かめはめ波ポルシェ911の後部座席、白露垂珠、山姥が里に下りてくる訳、米沢牛のサーロインステーキ、モホロビチッチ不連続面罪と罰キャナルターンで落馬、タンバリン奏者、地縛霊、弱気なコックス、心臓目掛けて突進してくるミニチュアダックスフント、リャン・ウー・パーソ待ち、トリプルアクセルで失敗、三木清は読みなさい、エノラ・ゲイ号、不吉な花束、ベンチプレスで100kg上げる、屋根から落ちた年寄りの大工、必勝法を他人に教える人、堕落論と逃走論、青いバラ、日本が沈没しても生き延びる、最澄空海、拍手一番のり、イビアナですか?、イビアナです、脛毛の濃い中国人、カツメシチェリオが売られている自動販売機、焼き鳥屋を予約する、悪用される同窓会名簿、フルトヴェングラーが振るベートーヴェン、カラーマーク付き普通切手、シンゴロー、公害防止管理者、日焼けで残った時計の痕、ズバッと刈られる稲、言語姦覚、埼玉スタジアム2002永井荷風がぶらついた東京、ブージバルのダンス、竜王戦の挑戦者、クミンパウダー、コントラバスを持って電車に乗り込む、字数制限を気にしながら、密教フェルマーの最終定理。こんな風におれは中島らもの真似をする。
こういうなのが、十数ページ以上にわたって繰り広げられる。それでも読みたい人はどうぞ。