咆哮

TAD-O-TAD2009-08-13

新樹の言葉」(太宰治新潮文庫


家に古本があったのに、本屋で買ってしまった。迂闊。
未完の作品1編(火の鳥)を含む15編の作品が収録されている。正直言って作者が太宰でなかったら今まで残っていたかどうか…という作品もちらほら。


裏表紙から引用…「麻薬中毒と自殺未遂の地獄の日々から立ち直ろうと懸命の努力を重ねていた時期の作品集。(後略)」。太宰には悪いが「地獄の日々」の中で書いた作品のほうが面白い。15編の小説の中には「いらだち」を感じさせるものや「忍従」を感じさせるものが多々。


1編を選べと言われたら「春の盗賊」であろうか。最後の咆哮には胸が締め付けられる思いがする。


「I can speak」/「懶惰の歌留多」/「葉桜と魔笛」/「秋風記」/「新樹の言葉」/「花燭」/「愛と美について」/「火の鳥」(未完)/「八十八夜」/「美少女」/「春の盗賊」/「俗天使」/「兄たち」/「老ハイデルベルヒ」/「誰も知らぬ」