TSUGARU

TAD-O-TAD2009-11-25

津軽」(太宰治新潮文庫


太宰治が生まれ故郷の津軽を紹介している。ええんちゃう、と思う。
津軽は演歌に人気がある。「津軽」の冒頭に紹介されている「津軽の雪」すなわち「こな雪 つぶ雪 わた雪 みず雪 かた雪 ざらめ雪 こおり雪」は新沼謙治の「津軽恋女」に出てくる。「♪降り積もる雪、雪、雪、また雪よ〜、津軽には七つの雪が降るとか〜」。いいなあ。同じ歌に出てくる「竜飛岬」も有名だ。石川さゆりの「津軽海峡冬景色」の2番は「♪ご覧あれが竜飛岬北の外れと〜」で始まる。この竜飛のことを太宰は次のように記している。


「『竜飛だ』とN君が、変わった調子で言った。
『ここが?』落ちついて見廻すと、鶏小舎と感じたのが、すなわち竜飛の部落なのである。凶暴の風雨に対して、小さい家々が、ひしとひとかたまりになって互いに庇護し合って立っているのである。ここは、本州の極地である。この部落を過ぎて路はない。あとは海にころげ落ちるばかりだ。路が全く絶えているのである。ここは、本州の袋小路だ。」


どや、暗いやろ。他にも以前mixiの日記にも書いた元和から昭和に至るまでの、「津軽凶作の年表」なんてのも出で来る。


でもね。読後感はいたって爽やか。なのでタイトルをローマ字にしてみたりした。では、失敬。


どうでもいいけど、私が読んだのは「平成3年の第74刷」で280円。さっき画像を入手するために某サイトで見たら今は420円。文庫本も高くなったものである。