勝ち馬を探せ!!

TAD-O-TAD2006-09-25

競馬におけるスピード指数の草分け的存在。著者はアンドリュー・ベイヤー。訳者は山本尊。彼がグリーンチャンネルの「先週の結果分析」に演ているのは面白い。スピード指数についての解説は避ける。どうしてもという方は、Amazonで「競馬驚くべき秘密の法則」(石川ワタル、ベストブックス)が100円以下から売られているのでそれを参考にするのがよいと思う。

さて、「勝ち馬を探せ!!」にはベイヤーの大いなる決意が汲み取れる。それは以下の文章から。
「…あまりなじみのない競馬場の平均タイムを出そうとする時には、まず自分の部屋に閉じこもる。その時、必要なのは、小型の計算機、前年のレース結果、ポスターサイズの大きな紙、とがった鉛筆を少々、ジャックダニエルのボトル、そして何時間もかかるこの骨折り仕事はきっと成功するという信念もだ。」

ちなみにアメリカには40前後の競馬場が存在し、毎日どこかの競馬場で競馬が行われている。そのような状況下、パソコンもなしで基準タイムの作成等をやってのけたベイヤーには頭が下がる。今の日本は土日のみ(変則開催はあるが)で最大3場開催。パソコンソフトも一杯ある。泣き言なんて言えない。実走着差をやっている人は別だが。

ベイヤーがすごいのは、これだけ苦心して作ったスピード指数を「絶対ではない」と認めているところだ(186p)。スピード指数はこない馬を篩いにかける道具なのだと言っている。潔いではないか。この辺りが石川ワタルとの差と言えようか。

私が「勝ち馬を探せ!!」で最もためになったのは、スピード指数ではなく11章の「競馬経済学」、とりわけ「勝負レースと遊びレースを区別する」というくだりであった。遊びのレースは勝負レースの3分の2程度にせよというもの。あとの薀蓄はここに来られる競馬ファンなら推して知るべしであろう。他にも「競馬予想に必要なのはクリエイティブな発想」とか「勝ち時に乗り、負け時を知る」とかスピード指数だけの本ではないことが良く分かる。

さてこの「勝ち馬を探せ!!」であるが、残念ながら絶版になっているようだ。先程Amazonで調べたら6,500円の値がついていた(定価は1,500円)。読みたい人は古本屋を探すか、面識のある方なら私がお貸しいたします。

ちなみに私がスピード指数を使うのは、ダートの短距離(1000〜1400m)のみです。