What’s Lily?

TAD-O-TAD2008-01-19

「猫と庄造と二人のおんな」(谷崎潤一郎新潮文庫
実は今年の読み始めはこの本にしようと思っていたのである。ネズミ年だから(-。-)ボソッ。「吾輩は猫である」でもいいが、長いわりにはそれほど面白くないからね。この本はなかなか面白い。
舞台は戦前(昭和一桁?)の阪神間。リリーという雌猫を溺愛する、庄造というちょっとだらしない男と、その雌猫に嫉妬して、猫を先妻に引き渡すことを無理矢理庄造に承知させる癇のキツイ妻福子と、猫を引き受ければ庄造も戻ってくるだろうと思って、「そうなるような」手紙を福子に出す腹黒い先妻品子が織り成す、なんとなくあほらしい(ちなみにセリフは全て関西弁)ストーリー。
庄造の頭の中は、
リリー>>(超えられない壁)>>福子>品子。
「リリー」の部分を「アルコール」とか「ギャンブル」に置き換えると、「依存性」とか「中毒」という言葉が浮かぶんやけど、猫の場合はどうなんやろうね。「あほらしい」で片付けられるんかな?第三者からみたら確かにあほらしいけど、本人にしたら必死なわけで、その辺のところを小林まことあたりに訊いてみたい気がする。読み終わってから、自分の中にリリーに相当するものがないか考えてみたが、幸いなことに?不幸なことに?ありませんでした。


ところで、谷崎は(自分が愛猫家であることを)隠してるけど分るわ。